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人材ビジネス業界

2009年07月30日

民主党のマニフェストから、中小企業に与える影響を分析

夏の衆議院選挙が近づいてきています。

今回、私は民主党勝利とみています。が、当然、そうなった場合は、今の自民党政権下から、中小企業の経営環境が変わることを想定しなければなりません。

今回、特に、経営側から見て、中小企業が影響を受けると思われる政策を、民主党のマニフェストから抜粋します。
(ちなみに、マニフェストなんですね。今までマニュフェストだと思っていました…)

※引用元は、全て、民主党公式サイト 民主党の政権政策Manifesto2009より
35.中小企業向けの減税を実施する
【政策目的】
○中小企業やその経営者を支援すること
で、経済の基盤を強化する。
【具体策】
○中小企業向けの法人税率を現在の18%から11%に引き下げる。
○いわゆる「1人オーナー会社(特殊支配同族会社)」の役員給与に対する損金不算入措置は廃止する。
【所要額】
2500 億円程度
一瞬、良い事だと思いますが、肝心なのは、経営が黒字にならない限り、減税の恩恵に預かれない事、でしょうね…
38.雇用保険を全ての労働者に適用する
【政策目的】
○セーフティネットを強化して、国民の安心感を高める。
○雇用保険の財政基盤を強化するとともに、雇用形態の多様化に対応する。
【具体策】
○全ての労働者を雇用保険の被保険者とする。
○雇用保険における国庫負担を、法律の本則である1/4 に戻す。
○失業後1年の間は、在職中と同程度の保険料負担で医療保険に加入できるようにする。
【所要額】
3000 億円程度
パート・アルバイトなどの、雇用保険適用外の労働者の雇用が多いほど、企業負担は増えます。
また、国庫負担が本則である1/4 に戻っても、それで料率が下がるとは、一言も書いてないので、勘違いをされない様に。
39.製造現場への派遣を原則禁止するなど、派遣労働者の雇用の安定を図る
【政策目的】
○雇用にかかわる行き過ぎた規制緩和を適正化し、労働者の生活の安定を図る。
○日本の労働力の質を高め、技術や技能の継承を容易にすることで、将来の国力を維持する。
本件については、ブログの過去エントリー「民主党が勝った場合の労働者派遣法改正案/派遣先への影響編」で詳細解説をしていますので、そちらをご覧下さい。
40.最低賃金を引き上げる
【政策目的】
○まじめに働いている人が生計を立てられるようにし、ワーキングプアからの脱却を支援する。
【具体策】
○貧困の実態調査を行い、対策を講じる。
○最低賃金の原則を「労働者とその家族を支える生計費」とする。
○全ての労働者に適用される「全国最低賃金」を設定(800 円を想定) する。
○景気状況に配慮しつつ、最低賃金の全国平均1000 円を目指す。
○中小企業における円滑な実施を図るための財政上・金融上の措置を実施する。
【所要額】
2200 億円程度
パート・アルバイトが主力の業態には、大きく経営を直撃する課題です。

流石にいきなり時給1000円ではなく、経過措置は取られるようですが、それでも時給800円。
北陸・九州・沖縄・北海道など、特に平均時給が低い地方では、中小零細企業の死活問題になりかねない気が…。

また、実施を図るための財政上・金融上の措置も、所用額2200億円程度。これで、中小企業が円滑に、移行できるのでしょうか…

同時に、製造業を筆頭に、機械設備導入や改善・見直し活動による合理化が必然的に進み、結果として、雇用機会の減少に繋がる可能性も推測されます。

尚、本件、民主党では、可処分所得の拡大により、内需拡大の原動力となる、という理論になっている事も、合わせて書いておきます。
41.ワークライフバランスと均等待遇を実現する
【政策目的】
○全ての労働者が1人ひとりの意識やニーズに応じて、やりがいのある仕事と充実した生活を調和させることのできる「ワークライフバランス」の実現を目指す。
【具体策】
○性別、正規・非正規にかかわらず、同じ職場で同じ仕事をしている人は同じ賃金を得られる均等待遇を実現する。
○過労死や過労自殺などを防ぎ、労働災害をなくす取り組みを強化する。
具体策が、具体的で無いので、何がどうなるか分かりません。
が、もし徹底的に、これをやるのであれば、本当に上手に進めないと、中小企業は、正社員の労働条件の切り下げで均等化、という形にならざるを得ないのでは、と心配します。

尚、この他にも、民主党の政権政策Manifesto2009には、色々な政策が挙げられています。

十分に読めるボリュームです。経営者の方は、マスコミ報道だけではなく、ちゃんと自分でも一読をした上で、民主党政権の場合の会社運営の想定をしておきましょう。

P.S1
当然、これは今のマニフェストですので政権交代後には、色々と変わる可能性があります。
実際、選挙前でも、こういった事例も出ていますし…

民主マニフェストあわてて追加 橋下・東国原氏反発受け(朝日新聞)

P.S2
これは私なりの分析した結果であって、民主党が良いとも、悪いとも言っていません。
私自身は(大人の事情で)民主党支持とも、自民党支持とも、どちらとも書きません。
ご了承下さい。


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2009年07月14日

民主党が勝った場合の労働者派遣法改正案/派遣先への影響編

衆議院の解散が21日、夏の総選挙が、 8月30日に投票でほぼ決まりました。
そして、 今国会で提出されていた労働者派遣法の改正案は、与野党ともに廃案となります。

労働者派遣法の改正案の成立は、衆議院選挙の政権与党によって、決定する事になります。

しかし、東京都議選の結果からも、自民党が負け、民主党が勝つ可能性が高く、派遣会社・派遣先は、民主党政権にて労働者派遣法の改正がどうなるか把握し、それに備える必要があります。

そして、その改正案は、野党三党共同発表した労働者派遣法改正案が採用される可能性が高いと判断されます。

まず今回は民主党(野党三党共同)の労働者派遣法改正案の改正ポイントを、私が読んだ上で、派遣先企業に影響が出るポイントのダイジェストを書き示します。
  • 製造業派遣は、ほぼ全面禁止
下記の例外事項を除き、製造派遣は禁止されますので、製造業が期間社員を必要とする場合、直接採用か、要件を満たした完全な業務請負のいずれかを選択する他に道はありません
  1. 専門的な知識や技術を必要とする業務
  2. 育児休業・介護休業期間中に限った代換要員
  • 2ヶ月以下の期間の派遣禁止
どのような業務であっても、2ヶ月以下の派遣は認められません。
一切、短期のスポットで派遣会社に頼む事は出来ません。
  • 不利益取り扱い禁止など派遣先の責任強化
契約労働内容の遵守や、有給取得や育児休業取得による不利益取り扱いが厳しく禁じられます
  • 未払い賃金の支払い義務
派遣会社が派遣スタッフに給与を支払えない場合、派遣先が、その支払いを行わなければなりません。
  • 健康保険の保険料の支払い義務
派遣会社が派遣スタッフの社会保険・労働保険など、事業主負担分について支払えない場合、派遣先が、その支払いを行わなければなりません。
  • 派遣労働者に対する安全衛生教育
派遣労働者が従事する仕事に関する安全衛生教育は、派遣先が行わなければなりません
  • 定期健康診断の代行
派遣会社が法律に定める健康診断を行っていない場合、派遣先が健康診断を行わなければなりません。
但し、その費用は、派遣会社に請求する事ができます。
  • 労災の請求の際の便宜の供与
派遣スタッフに労災が発生した場合、その請求を円滑に行う事が出来る様に、必要な便宜を供与しなければなりません。
  • 性別を理由とする差別の禁止
元々、男女雇用機会均等法でも定められている部分ですが、当局の監督が,より厳しくなることでしょう。
  • 派遣会社への仕事に関係の無い個人情報提供の制限
これも元々、定められている事項ですが、当局の監督がより厳しくなることでしょう
  • 団体交渉の応諾
派遣スタッフの労働条件に関して、派遣会社のみならず、労働団体から派遣先に交渉要求があった場合に、正当な理由無く、それを拒否できません
  • 派遣労働者の雇用
派遣スタッフが製造業務やなどの禁止業務や、派遣の期間制限を越えての派遣労働など、違法にある状態を知って派遣スタッフを使用していた場合に、派遣スタッフから通知があった場合は、直接雇用をしなければなりません。
また、上記が、派遣の期間制限を越えての派遣労働だった場合、正社員(期間の定めが無い雇用)で雇用をしなければ、なりません。
  • 罰則の強化
派遣会社が派遣法に違反している事を知っていて,その派遣会社を使用していた場合は、派遣先にも罰金刑、または懲役刑が科せられます。
尚、この違反の有無の多くは、この後に述べる、「派遣会社からの通知事項」にて、確認する事となります
  • 派遣会社からの通知事項の増加
派遣を受入れる時に、派遣会社から受ける通知事項が大幅に増えます。
  • 労働組合への通知
労働者派遣を使用する際、派遣先は、自社の労働組合(祖合が無ければ労働者の代表)に、派遣に関する様々な事項の通知を行わなければなりません。
  • 労働者派遣法改正案の施行期日
選挙後、本改正法案が成立した場合、公布から6ヶ月以内に施行されますが、どうも2010/04/01の施行が濃厚です。
  • 労働者派遣法改正案の見直し
本改正法案の施行後、3年以内の検討・見直しが行われる予定です。
※尚、今回のダイジェスト作成の資料は下記になりますので、気になる方は原文を確認して下さい。


以上、民主党が勝った場合の、派遣先企業への労働者派遣法改正の影響について、上げました。

これらが派遣先企業に、どんな課題を齎すかにについては、後日述べます。

が、最終的な結論を書くと、
  • 期間社員から単発アルバイトまで、殆どの人材採用は、企業が直接採用しなければならない。
  • 製造派遣が多くを占めている、現存派遣会社は大半が倒産・廃業。
    事務系・技術系の一部を残して、派遣業界は壊滅。
という事になります。



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2009年03月03日

加藤電機製作所のリクナビ求人が素晴らしい

私も人材業界ですので、求人広告は数多く見ていますが、これは凄い発想の転換ですね。
求人広告でダメ社員紹介 すると20、30代の応募者殺到

 「原君、どこ行ってしもうたんやーー」。失踪した社員の「捜索願い」のような求人広告がネットで話題になっている。広告に出てくる「原君」は実在する中小企業の社員。5年前に入社、仕事は全然しないし、取引先からも大目玉をくらうといったダメサラリーマン。この「ボロクソけなし広告」が求職者の共感を得たのか、応募者が殺到する事態になっているのだ。

(引用元:J-CASTニュース
ちなみに該当の求人広告は下記ですね
http://rikunabi-next.yahoo.co.jp/rnc/docs/cp_s01800.jsp?fr=cp_s00900&rqmt_id=0006504823
(コピペして下さい。)

確かに「優秀な会社期待の星を募集」みたいな求人広告が溢れる中で、かなり異色な打ち出し方。

自分に自信は無いけれど、就職活動はしなければいけない方には、今回の打ち出し方は、かなり魅力的ですね。

また、ダメ社員と貶すだけでなく、最後には「実はソフトを任せたらピカイチってことに最近気付きました。根気よく使っていれば、長所が見つかるもんです。」とフォローアップも入れる辺りは素晴らしいですね。

こういう求人パターンは、人と接する事が少なくて、地道にコツコツやる仕事では有効だと思います。

求人広告の勉強になりました。ありがとうございます>広告を作ったリクルートの中の人


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2009年01月12日

所謂「派遣問題」について激しく同意したブログ記事

この所、派遣の事が新聞に載らない日は無い状況ですが、弊社も事業の一つに派遣を持っています。

そして、「派遣問題」への言及については、このブログも含め、公の場での発言は、非常に神経質に考えて書いたり、書かなかったりしています。

そんな中、人材派遣業界をテーマにした、としぞうさんが書いておられる実録!負け組人生!?派遣会社の裏の裏!という人気ブログがあります。

このブログは、東京で普通のサラリーマン生活をしている方には絶対に想像できないような、製造派遣で面接・就労に来る、特定の「ワケ有り」の方々について、鋭い観察眼から、その常識との大きなズレを指摘するブログです。

これまた、これ以上細かく書いて、書き方を間違えるとデリケートな所もあるので、御興味ある方は全てをゆっくり読んで見る事をお勧めします。

それで、そのとしぞうさんが書いた「派遣村」の件で書いたエントリーと、それを受けて更に書いたエントリーなんですが、製造派遣に関わった事のある人間には、まさしく「激しく同意!」なんです。

という事で、「派遣問題」に大なり小なり関心のある人は、下記のエントリーを読んでみる事をお勧めします。

実録!負け組人生!?派遣会社の裏の裏!より



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2008年12月13日

派遣切りへ緊急対策。住居支援・生活支援

急速に進む「派遣切り」に伴う、住居・生活問題について、政府の緊急支援対策がまとまった様です。

毎日新聞
生活危機:08世界不況 「派遣切り」に住居支援 敷金や生活資金、貸し出し実施へ

この施策については、国内で賛否もあるようですが、このままでは生活が成り立たずホームレス状態で年末年始を越えられない人々が多数になってしまう、直面している大きな生活危機を回避する、早急な対処は絶対に必要な事だと思います。

弊社としても、政府の支援制度で活用できる部分があれば、それを利用して、一人でも多く、出来る限り「派遣切り」で困窮しているスタッフさんの生活維持に務めたいと考えています。


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2008年11月29日

深刻な愛知・岐阜県の派遣切り

非正規雇用:「雇い止め」3万人 内定取り消し300人−−厚労省調査

厚生労働省は28日、非正規雇用労働者の期間満了・途中での雇い止めが3万人を超えるとする初の調査結果をまとめた。また来春の新卒者の内定取り消しは331人、高卒者求人数は前年同期比の3・8%減で6年ぶりに減少した。

(中略)

契約期間中に雇い止めにされるケースは1万8573人(不明を含む)で6割超に及んだ。業種別では、製造業が2万8245人と大部分を占めた。都道府県別では、愛知県が4104人で最多。岐阜(1986人)▽栃木(1680人)▽長野(1616人)−−と続く。自動車など大規模製造工場がある地域が目立つ。

(後略)
毎日新聞 2008年11月28日
製造派遣の派遣契約の契約更新の打ち切り(新聞・ニュースで言う、派遣切り)ですが、弊社が商圏とする愛知県・岐阜県の状況は深刻極まっています。

パジェロ製造:非正規社員500人削減へ 販売不振、減産の影響で /岐阜
国内の自動車工場で非正規従業員(期間従業員と派遣社員)を削減する動きが、県内にも及んできた。四輪駆動車パジェロなどを組み立てている坂祝町の「パジェロ製造」も、500人の非正規社員全員について契約更新を行わず、人員削減をする。
(後略)
毎日新聞 2008年11月29日
パジェロ製造の500人規模の大型削減だけでなく、岐阜の中小製造業の多くで、数人から何十人単位の削減が行われる、若しくは検討されている状況。業界から見ても、全く底が見えません。

私はバブル崩壊後の不景気も見ていますが、今回の状況の悪さは、それとは比較にならないレベル。東海の主要産業である、自動車・航空機・工作機械は、これ迄は好調だったのに、ここ3・4ヶ月で一気に全てが不調となる「天国から地獄」であり、その落差の大きさが、東海地区へ壊滅に近いダメージを与え、まず派遣切りという形で表れています。

更に怖いのは、今後です。 来年も景気回復の芽が見えなければ、経営判断の早い大企業による正社員リストラと、経営の体力が持たない中小企業の正社員リストラが同時進行する事は、避けられません。

それはさておき、弊社でも製造業の案件は、高スキル・要経験のハードルの高い仕事のみで、一般的な製造の仕事は全く無いのが現状。

しかし、既存の取引先各社へあたって、雇い止めになる自社スタッフの次の職場を、一人でも多く見つけていくよう、最善の努力を尽くす事が、まず目前の課題です。


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2008年11月09日

派遣法改正案が正式に国会提出へ

派遣法改正案を閣議決定  日雇いは原則禁止

(前略)
改正案は、雇用が不安定な日雇い派遣や雇用期間が30日以内の労働者の派遣を原則禁止。通訳や秘書など専門性が高い18業務では例外的に認める。企業が派遣会社を設立してグループ内に派遣する場合、グループ企業への派遣割合を8割以下に規制する。
(後略)
引用元:2008/11/04 47NEWS
新聞では前々から取り上げられている、労働者派遣法の改正案が閣議決定し、正式に国会提出されます。

ちなみに概要は報道で取り上げられていますが、人材派遣業界の人間であれば、厚生労働書に掲載されている、改正案の概要説明をキチンと読んでおくべきです。 すると、報道で触れられていない、事業運営上の課題が山積みなのに気付く事でしょう…。

来年から、旧来の製造系アウトソーシングから発祥している、人材派遣会社のM&A・合併・事業閉鎖・買収が、相次ぐ事は断言できします。

同時に「単なる人材派遣」のビジネスモデルは見限って、新しい人材ビジネスに転向した会社のみが生き残るとも断言します。


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2008年10月04日

フルキャスト日雇い派遣撤退とビジネスモデルの寿命/前編

 ここ最近、人材ビジネス関連の記事が多いのは、人材業界で書くネタに事欠かないから。
 前回のエントリー記事のフルキャストの派遣免許取り消し・廃業の可能性に続いて、また、こんなニュース。
フルキャスト:日雇い派遣撤退 イメージ悪化、顧客離れ

 厚生労働省から2度目の事業停止命令を受けたフルキャストの親会社、フルキャストホールディングス(HD)は、来年9月末をめどに日雇い派遣事業から撤退し、主力業務を中長期の派遣へと移行して生き残りを図る方針だ。だが、イメージダウンは大きく、顧客離れが進めば業績の回復は遅れる可能性がある。
(一部引用)
引用元:毎日新聞 2008年10月4日

はい、消えたーっ!(by相川欣也 なるほど・ザ・ワールド)

という感じで、日雇い派遣のビジネスモデルは消えますね。

 一時期、グッドウィル・フルキャストが牽引して、日雇い派遣業界が飛ぶ鳥落とす勢いだった頃に、この様な結末を誰が想像していたでしょうか。
 日雇い派遣事業が売り上げ全体に占める割合は約2割。今後、「3カ月以上の長期派遣や直接雇用の職業紹介事業へ転換したい」(同社広報室)とするが、政府の方針で日雇い派遣の市場そのものが急速に縮小する中、業界各社はこぞって中長期派遣の業務を強化する方針を打ち出している。競争激化の中、コンプライアンス(法令順守)を重視する顧客企業がフルキャストとの契約を敬遠する可能性もある。
(同記事から一部引用)

 フルキャストが、現状から復帰するのは難しいでしょうね。

 なぜなら、フルキャスト有利だった要素は日雇い派遣のシェアの大きさであって、それが無くなって、更にリクルートグループ(スタッフサービス買収)や、テンプスタッフ(ピープルスタッフ吸収)などの大手と同じ市場に、「後発&コンプライアンス不全」に全勢力で挑むのは、完全に負け戦です。

 個人的に言わせて頂くなら「寝ていた方がマシ」という事業方針。

 今回の不祥事が、フルキャストの派遣免許の取り消しにまで至らない事を確認した上で、日本に進出したい外資系の大手派遣会社にアッサリM&Aされる、という展開も有り得るかなと、推察しています。
フルキャストの株価もお買い得ですから。

 さてさて、今回のエントリーで言いたいのはフルキャストの展開ではなくて、どんなビジネスモデルにも寿命があるという話です。(前振りが長い…)

 グッドウィルの廃業、フルキャストの撤退は、個々の会社の寿命ではなくて「人材派遣で短期の雇用に労働力を提供する事業」というビジネスモデルの終焉を表しています。

 実は、世の中のビジネスモデルの多くは「流行り廃り」があります。

 例えば、コンビニというビジネスモデル。これもパッと見は、登場から30年来、何も変わらないビジネスモデルに見えますが、実は廃れてしまったビジネスモデルなのです。
(後編 or 中編に続くかな

【参考資料】
日本のコンビニ1号店@豊洲、若き店主の奮闘努力WAVE the FLAG




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2008年10月02日

人材派遣会社の類似不祥事。パワーステーションとABCサービスの違い

最近、人材派遣会社の不祥事が続きますが、また、人材派遣会社の社員が逮捕されたようです。
派遣労働:会社社員を逮捕 年齢偽り中学生働かせる

中学生を派遣登録して働かせたとして、警視庁少年育成課は2日、派遣会社「パワーステーション」(東京都大田区)旧勝島営業所社員、高橋寿弥容疑者(29)=川崎市幸区小向西町=を労働基準法違反(最低年齢)容疑で逮捕したと発表した。容疑を認め「中学生と知っていたが、会社のためだった」と供述しているという。約50人の中学生を働かせていた疑いもあるとみて追及する。
(後略)
引用元:毎日新聞 2008年10月2日

前に書いたエントリー「フルキャストの派遣免許取り消し・廃業の可能性」でも触れましたが、本件の逮捕の結末が罰金刑・禁固刑となった場合は、パワーステーションの派遣事業の認可取り消し→廃業になります。

ちなみに似たような事例で、2006年11月にABCサービスの中学生の違法派遣労働が指摘された事例がありますが、この場合は逮捕に至らず、現在もABCサービスは継続しています。

ABCサービスの事件とパワーステーションの事件は類似ですが、違う点は発覚時期であり、パワーステーションの今後の展開と、2006年11月のABCサービスの展開を見比べると、日本の雇用行政の方針の変化が良く分ると思います。

今後の動向が、要注目の事件です。



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2008年09月30日

フルキャストの派遣免許取り消し・廃業の可能性

 グッドウィルに引き続いて、フルキャストよお前もか、という感じのニュースが飛び込んできました。

フルキャスト再び事業停止へ 停止命令中に派遣繰り返す

 厚生労働省は、日雇い派遣大手フルキャスト(東京都渋谷区)に対し、来月初めにも2度目の事業停止命令を出す方針を固めた。昨夏に事業停止命令を受けながら、停止期間中に新規の派遣を繰り返したためで、全国155の全事業所を対象に1カ月の処分とする見通しだ。

 日雇い派遣をめぐっては、最大手のグッドウィルが廃業し、厚労省は原則禁止の方針を決定。すでに関係業界では日雇い派遣離れが進んでいるが、今回の停止命令もその動きを加速させそうだ。
(後略)

 この後の展開について、どの新聞も触れていませんが、現状の所は、フルキャストの派遣免許取り消しまでは至りません。
※ちなみに労働者派遣の認可取り消しの要件は、厚生労働省が発表している、実際に取り消しになった
オールテイクの事例を見ると分り易いです。

 しかし、もし本件で警察が家宅捜索に入り、フルキャストの関係者が逮捕・書類送検の末、罰金などの略式命令が出れば、労働者派遣法に基づき、グッドウィルと同じく、フルキャストは派遣免許取り消し→廃業という可能性も出てきます。

 つまり、今後のフルキャストの企業としての生死は、政府の意向次第と言えます。

 ちなみに今年は、11000人の従業員が居たグッドウィル以外にも、東北のオールテイクという派遣会社が、罰金の略式命令により廃業をしていますが、そこは2400人
の大きな従業員数の会社でした。
 つまり政府としては、派遣スタッフ数が多い人材会社でも、国策にそぐわない人材企業は「潰す」という、強い姿勢を見せているという事です。

 今は選挙前という事も有り、雇用問題に取り組む姿勢のアピール材料として、フルキャストがグッドウィルと同じ道を歩む可能性も有り得ると、私個人は推測しています。

 いずれにしても、人材会社にとって、コンプライアンスは人材業界のサバイバル状態で勝ち残るか否かの大きな分かれ目です。



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2008年09月27日

製造派遣のビジネスモデルの根本的な見直し

 弊社は製造派遣も行っておりますが、厚生労働省から下記の様な通達が出ています。

製造業派遣「正規雇用逃れ」への指導を強化 厚労省

 製造業で派遣労働者を3年の期限を超えて働かせる違法行為を規制するため、厚生労働省は26日にも全国の労働局に一斉通達を出す方針を固めた。派遣終了後にいったん契約社員などにしてから、再び派遣として雇う違法行為が09年に相次ぐ恐れがあるため、指導を強化する。

 大手製造業の工場では、06年に違法な「偽装請負」が社会問題化した結果、請負から派遣への切り替えが進んだ。その派遣労働者らが来年一斉に雇用期限を迎えるため、「09年問題」として企業は対応を迫られている。

 通達では、派遣を3年間受け入れたあとは、正社員や期間工などの直接雇用にするか、請負契約に切り替えるように要請する。
(後略)
引用元:asahi.com 2008年9月26日付

 製造業や製造派遣業の人間であれば、今回の通達が持つ、あまりにも大きな意味が読み取れると思います。

 深くは語りませんが、株式投資の世界には「国策に売り無し」という言葉があります。

 今の人材ビジネスの国策は「正規雇用」です。それに気付かなければ、市場原理の名の元に淘汰されてしまう悪寒




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2008年09月21日

人材派遣の裁判員制度と福利厚生

 昔から大手の人材派遣は、先掛けて、色々な福利厚生を行っていきますが、今回、パソナが2009年の裁判員制度の導入に関して、面白い施策を発表しました。
パソナ、派遣社員に「裁判員休暇」 有給で最大5日

 人材派遣大手のパソナグループは2009年から始まる裁判員制度で、派遣社員に有給の「裁判員休暇」を付与することを決めた。
(後略)
出典:日本経済新聞 2008年8月25日付
 確かに、稼動数が数千人〜数万人の大手人材派遣では、裁判員があたる可能性は高く、具体的な方策を考えるべき課題なんですよね。

 これを読むまで、全然考えていませんでしたが、ヒューマネットでも、派遣スタッフが裁判員になった場合の規定を、考えておかなければと思った次第です。



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2008年06月14日

秋葉原通り魔事件の派遣労働の関連報道まとめ

 ご存知の通り、秋葉原にて非常に陰惨な事件が発生しました。
 犠牲者の方々には深く、哀悼の意を表すと共に、謹んで御冥福を申し上げます。

 本事件については、加害者が製造派遣の労働者だった事が、世論・国政・派遣業界に大きな波紋となり、それが広がっております。

 人材業界に身を置く者として、本事件を受けて思う所が様々あるのですが、本件は慎重に言葉を選んで書かなければいけない、影響の大きな事件ですので、本記事でのコメントは差し控え、後日に所感をまとめたいと考えております。

 それで、本記事では、情報ソースとして、秋葉原通り魔無差別殺傷事件の報道の中で、特に人材派遣や派遣労働に関連するものを、まとめ記事として収集しておきます。

2008年6月9日
秋葉原通り魔事件について、関東自動車工業がリリースを発表Response.

2008年6月10日

2008年6月11日

2008年6月12日
誰でもよかった:秋葉原通り魔事件/下 若者引き込む仮想の世界毎日新聞

2008年6月13日



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2008年05月07日

中小企業の社長 成功の条件

 先日、ヒューマネットが職業紹介事業の一環で社長募集の求人を行っているとの記事を書きました。

 それで、中小企業の社長候補を募集するにあたって、当然、優れた経営者の資質の有無で判断することになります。

 が、そもそも、経営者の資質とは何でしょうか?

 私がこれ迄に会った、結果を出している中小企業の経営者の共通点を書き出してみました。

  • 常に前向き!後ろ向き発想はカケラも無し!
成功する社長は、間違いなくポジティブシンキングです。逆に、ネガティブ系の思想で伸びた社長を1人も見た事がありません

  • 誰よりも努力家!勉強家!
成功する社長は、手法に違いはあれど、勉強や努力を惜しみません。
ちなみに成り上がりで成功した社長などには、座学で勉強をしていない人もいます。が、それも、成功事例や成功者から体感的に学ぶなど、勉強と努力を欠かしていません。


  • 軸がブレなくて、強い意志を発揮する
成功する社長は、厳しい局面で決断を下せる、強い意志を持っています。
それは、自分の中に決してブレない軸を持っているからです


  • 常に考える⇒これだ!と思ったら即実行
成功する社長は、誰よりも常に考え、一時も自分のビジネスや経営を忘れません。
しかし、複数の成功要因で「これは行ける!」となれば、戦略を即実行!思考性と行動性を併せ持つものです。


  • 邪魔な常識に囚われず、斬新な発想力
成功する社長は、業界の常識は自社の経営を阻害する、狭苦しく邪魔な存在でしかない事を知っています。
もっと、大きく高い所にある、斬新な発想がなければ、企業のビジネス発展は有り得ません。


 今回の社長募集の求人についても、これらの視点で紹介を進めさせて頂く事となります。

 上記を読んで、ますますやってみたい!と思われる方は、社長募集に立候補して下さい。



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